最高のパフォーマンスを発揮したい
8月24日に開幕する東京2020パラリンピック。その競技種目のひとつ、パワーリフティングは、仰向けの状態でバーベルを押しあげて重量を競う。日本代表として男子59キロ級への出場が決まったのは、現在28歳の光瀬智洋選手。パワーリフティングとの出合いは、19歳のときに遭った事故がきっかけだったという。
「ベンチプレスは、トレーニングの一環としてはじめました。当時は、この競技の存在すら知らなかったんです。リオ・パラリンピックでイランの選手が、310キロを持ち上げていて衝撃を受けました。健常者も障害者も関係なく、全階級の選手が上半身の力だけで競う。そんな唯一無二の競技である点も、魅力を感じました」
スタートの号令とともにバーベルを胸の上におろし、一定の速度でまた平行に押しあげる。その間、わずか3秒。3ラウンド行い、もっとも重い記録が採用となる。一歩間違えれば大事故になりかねない競技ゆえ、光瀬選手は、日々さまざまなトレーニングに励んでいる。
「試合前はものすごいプレッシャーですし、壁にぶつかることもあります。けれど、練習で1回でも多く回数をこなせるようになったり、より重いものを押しあげたときに、確実に強くなっていることを実感します。成果がはっきりわかるからこそ、もっと頑張ろうという気持ちになります」
今年、光瀬選手は日本記録を更新した。次の大会では、なにを目標としているのだろうか。
「国際大会では、海外の素晴らしい選手たちにいい刺激をもらってきただけに、東京パラリンピックはとても楽しみです。新記録を目指して、行けるところまで行きたいですね」。
いつでも最高のパフォーマンスを出せるコンディションづくりを大切にしているという光瀬選手。東京パラリンピック、そして、その先の世界での活躍にも期待したい。
こうせ ともひろ
1993年3月23日、兵庫県生まれ。19歳のとき事故に遭い、車椅子ユーザーに。2017年から、パラ・パワーリフティング選手として活動を開始する。シーズアスリート所属。2020年と2021年に、全日本選手権にて男子59キロ級を2連覇。同階級日本記録保持者(143キロ)。東京2020パラリンピックの日本代表選手。

『東京2020パラリンピック パワーリフティング』
日程:8/26(木)~30日(月)
会場:国際フォーラム
(出場選手)男子49Kg級 三浦浩/男子59Kg級 光瀬智洋/男子72Kg級 宇城元/女子79Kg級 坂元智香
特定非営利活動法人日本パラ・パワーリフティング連盟
https://jppf.jp