illustration:Haruka Toshimitsu

子宮頸がんは、検診が大切!《働くオンナの救Q箱》


 子宮頸がんの原因はウイルス感染で、数年から十数年の感染期間を経て、発症するという。若いうちから積極的に定期検診を受けていこう!

Q1.子宮頸がんとは、どんな病気?

 子宮頸がんとは、子宮の入り口部分にできるがんです。子宮頸がんの原因はヒトパピローマウイルスで、主に性交によって感染します。女性では生涯に80パーセント以上が感染し、そのうち90パーセントの人は、時間の経過とともにウイルスが免疫力によって排除され、子宮頸がんにならずに済んでいると考えられています。子宮頸がんは20~30代でも増えています。自覚症状がほとんどないため、検診で早期発見することが大切です。

Q2.検診はどのように行うの?

 内診とともに、子宮頸部をブラシでこすって細胞を採取する細胞診を行います。ヒトパピローマウイルスが見つかれば、感染によって細胞にどのくらい変化が起きているかを調べます。がんになる手前の細胞が変化している状態を、異形成といいます。異形成には、軽度、中等度、高度と3段階があり、軽度や中等度では自然に消えることも多いため、経過観察をします。ウイルスが消えずに感染が数年~十数年と長期間持続すると、がんになるものもあります。

Q3.ヒトパピローマウイルスとは、どんなもの?

 ヒトパピローマウイルスにはさまざまな種類があり、がんを引き起こす確率によって、高リスク型と低リスク型に分類されます。高リスク型には16型、18型、31型、33型、35型、52型、58型が、低リスク型には200種類以上あり、なかでも6型と11型は、生殖器の周辺にイボができる尖圭(せんけい)コンジローマの原因にもなります。定期検診でウイルスが見つかった場合は、さらにウイルスの型を調べる検査をして、治療対策を考えることも必要です。

Q4.予防方法はあるの?

 現時点で有効な予防方法は、定期検診とワクチンの接種のみです。ワクチンには、ガーダシル、サーバリックス、シルガード9の3種類があり、それぞれ対応するウイルスの種類が異なります。これまで定期接種(小学6年生から高校1年生の女子が対象)の国による推奨が中止されていましたが、積極的推奨が再開されることになりました。ワクチンに年齢制限はなく、婦人科で相談すれば誰でも受けることができます。

Q5.どうやって治療するの?

 治療はほかのがんと同じように、進行度合いによって手術、放射線療法、化学療法を組み合わせて行います。手術では、がん細胞のある子宮頸部の細胞を円錐形に切除します。がん細胞が真皮にまで浸潤していなければ根治となり、妊娠も可能です。手術後に妊娠した場合は早産や流産を防ぐため、子宮口を締める子宮頸管縫縮術を行い、出産は帝王切開となります。がん細胞が子宮体部にまで至っていれば、子宮を全摘出することもあります。

 

監修:池下育子先生

いけした女性クリニック 院長
https://www.ikeshitaikuko.com


LATEST POSTS