肌のかさつきやだるさが続くなら、甲状腺ホルモンの分泌量が低下する「橋本病」の可能性も。甲状腺の働きをチェックして、体の調子を整えよう!
Q1.甲状腺の病気って、なに?
甲状腺とは、のどぼとけの下にある器官で、全身の代謝を調節する働きのある甲状腺ホルモンを分泌しています。甲状腺の働きに異常が生じ、甲状腺ホルモンの分泌が過剰になる病気には「バセドウ病」があります。それとは逆に、甲状腺ホルモンの分泌量が低下する病気に「橋本病」があります。また甲状腺の機能が一時的に崩れて起きる「亜急性甲状腺炎」(痛みを伴う)や「無痛性甲状腺炎」も。無痛性甲状腺炎は産後に起きることがあります。
Q2.橋本病って、どんな病気?
橋本病では、甲状腺の慢性的な炎症によってのどが腫れたり、甲状腺ホルモンの分泌量が減ったりします。甲状腺ホルモンが不足すると、強い眠気が生じたり、寒さに敏感になったり、便秘、記憶力の低下、体重の増加、皮膚の乾燥やむくみなど、全身に症状が表れます。このほかにも症状は多岐にわたり、たとえばひどい声枯れが生じたり、コレステロール値が高くなってなかなか下がらないといった症状がみられる場合もあります。
Q3.診断方法はどんなもの?
橋本病の診断には、「甲状腺機能検査」と「抗甲状腺抗体検査」を行います。血液を採取し、甲状腺ホルモンと甲状腺刺激ホルモンの濃度を測定して、甲状腺機能が正常に働いているかどうかを調べます。さらに、甲状腺に対する自己抗体の有無を確認する「抗甲状腺抗体検査」を行って橋本病かを特定します。これらの血液検査は、甲状腺専門外来や一般内科でも行うことができます。また、エコー検査によって甲状腺の腫れの状態も確認します。
Q4.どうやって治療するの?
甲状腺の機能が低下している場合は、甲状腺ホルモンを補充するために甲状腺ホルモン剤を内服します。「ホルモン剤」と聞くと不安を覚える方もいますが、甲状腺ホルモン剤は副作用がほとんどなく、長期間の服用も問題はありません。また、昆布などのヨウ素が多く含まれた食材を毎日大量に食べたりすると、甲状腺機能が低下する場合があります。生活面では、ヨウ素を含む食材は過剰に摂らないようにして、バランスのよい食生活を心がけましょう。
Q5.原因は?どんな病気につながるの?
橋本病は、免疫機能の異常によって自己の細胞を攻撃してしまう自己免疫性疾患のひとつです。遺伝的な要因もありますが、はっきりとした原因はわかっていません。成人女性の1割程度が橋本病の抗体を持っているという報告もあり、潜在的な罹患者は少なくないと考えられます。甲状腺ホルモンが不足していると、物忘れや心臓病につながる場合もあります。高齢の場合、気づかれにくい可能性もあるため注意が必要です。甲状腺ホルモンは胎児の発育にも大切ですので、妊娠中はしっかり治療しましょう。
監修:渡邊 奈津子先生
伊藤病院(甲状腺疾患専門)
内科部長
https://www.ito-hospital.jp