メトロポリターナ編集部が、東京メトロ沿線で見つけたいろいろなことを気ままにご紹介。大の映画好きである関根が、今回は、これまでの常識が覆される、臨場感あふれる映画体験を紹介します
池袋/TOHOシネマズ池袋
7月にHareza池袋内にある映画館、TOHOシネマズ池袋がオープンしました。なにやらこちらでは、「サウンドシアター」をコンセプトにした、極上の音響システムを体験できるのだそうです。ステイホーム期間に、ひと月で50本映画を見たことのある私としては、これは行かないわけにはいかない…! というわけで、早速、映画を見てきました。迫力満点の轟音上映のレポートとともに、TOHOシネマズ池袋の音響の秘密に迫ります。
体の芯まで音が響き渡る、轟音上映
「映画を最良の環境で見てもらいたい」。そんな想いから、TOHOシネマズ池袋にはこだわりの音響設備が整った3つのスクリーンがあります。そのひとつが、『音の体感』をコンセプトにつくられた、“轟音”を体験できる第2スクリーンです。たとえばミュージシャンのライブにいくと、音の迫力で空気が揺れているような感覚がありますよね。そういった、全身で体感できるほどの轟音を実現させるために、こちらの第2スクリーンでは、「アイソバリック方式」の「サブウーハー」というものが導入されています。
ウーハーとは、重低音のスピーカーのこと。そのウーハーを、向かい合わせにして設置することをアイソバリック方式と呼ぶそうです。このアイソバリック方式は、主にライブなどで使われる音響設備。これを映画館に導入することで、通常の上映の1.5倍から2倍の迫力ある音で映画が楽しめるのです!

そんな第2スクリーンの轟音上映を、実際に体験してみました! 今回私が見たのは、『グレイテスト・ショーマン』。2018年に日本で公開された、いわずと知れたミュージカル映画ですが、その作品の魅力は、なんといっても音楽。主題歌の「THIS IS ME」は、記憶に残っている人も多いのではないでしょうか。さて、この作品をアイソバリック方式の音響システムで見るとどうなるのでしょうか? 結論から言うと、その魅力は何倍にも増すのです! 轟音上映ならではの、迫力のある音楽。音が耳から脳内、体の芯にまで響き、波打っているのを体内で実感することができます。まさに、音で劇場そのものが揺れているような感覚…。繊細な曲のシーンでは、透明感のある美声が劇場に響きます。見ている私たちを物語の世界へとさらに入り込ませてくれて、音でここまで衝撃を受け、興奮をしたのは初めての経験でした。
低音から高音まで、繊細な音を美しく表現

TOHOシネマズ池袋の中でも、とくに上質な音を体験できるのが、第6スクリーン。こちらでは、「3wayハイコアキシャル」と「カスタム4wayハイコアキシャル」という、2つの再生方法を組み合わせたカスタムスピーカーが導入されています。ハイコアキシャルとは、高域用の2つのユニットを同軸上に一体化させた特殊なユニットです。その3wayというのは、「ハイ」「ミドル」「ロー」の高音から低音までを、3つのパーツを使って音を出す仕組みです。4wayになると、もうひとつ「ベリーハイ」というさらに高い音に対応するユニットが加わります。これのシステムの特徴は、音域ごと別のユニットで音を鳴らすため力強い低域と繊細な高域の表現が可能になります。さらにコアキシャルユニットを使うことで正確な定位の音の表現が可能になるということ。通常、複数のユニットを使うとオーバーラップする周波数帯に少しの位相ズレが生じてしまいます。ですが、こちらで導入されているカスタムスピーカーでは、安定した音を届けることができるそうです。
音が劇場内を動く⁉︎ 立体音響システム
第10スクリーンでは、「Dolby Atmos(ドルビーアトモス)」という立体音響システムを採用。まるで音が動いているかのように、リアリティのある音を体験することができます。

写真を見るとわかるように、ほかのスクリーンに比べ、第10スクリーンは圧倒的にスピーカーが多い! Dolby Atmosは、前後、左右、さらに天井にもスピーカーが付いていて、さまざまな方向から音を出すことができます。それぞれのスピーカーから出された音は、ほかの音と交わり、その交わる場所で生まれるのが“音の磁場”というもの。このシステムの特徴は、シーンごとに少しずつ各スピーカーから出る音を調節することで、音の磁場を移動させ、立体的な音を表現することができるのです。
たとえばライブのステージ上で、ボーカルがひとりで演奏している状態を想像してみてください。人の動きに合わせて、スポットライトも動き、さまざまな角度からその人を照らしますよね。それと同じようにDolby Atmosは、まるでスポットライトのように音を調整し、動かすことができるのです!
雨が降るシーンであれば、地面に打ち付ける雨の音と屋根にあたる雨の音とで、聞こえてくる方向が異なり、波の音であれば、音の磁場を前後に動かすことで、波が押し寄せてくるような臨場感のある音を表現することができるのです。
音の振動を体験できる第2スクリーン、幅広い音域で上質な音響体験ができる第6スクリーン、立体で音を感じ、映画の世界に入り込んだような体験ができる第10スクリーン。新しくオープンしたTOHOシネマズ池袋には、さまざまな音響体験を届けるシアターがそろっています。映画好きはもちろん、気になる映画がある方はぜひ、TOHOシネマズ池袋で、極上の映画体験をしてみてはいかがでしょう。
TOHO CINEMAS IKEBUKURO
豊島区東池袋1-18-1 HarezaTower内
[TEL]050-6868-5070
[休]無休
https://www.tohotheater.jp
※営業時間や上映作品などは、公式サイトでご確認ください
関根栞(せきね しおり)
メトロポリターナ編集部員。趣味は映画と旅。好きなものはカフェラテ。海外に行きたい気持ちをおさえながら、映画を見て過ごしています。