photo: Shigeo Kosaka edit: Hideki Taira(EATer)

谷中 竹巧彩の竹・籐製品[東京きらり人]

コラム, おでかけ

この街の、ちょっといいものつくる人


【谷中 竹巧彩の竹・籐製品】

《竹職人》 毛利健一さん

使い手の声に寄り添い、
自分らしく成熟させる。

 全国伝統的工芸品公募展の最高賞「内閣総理大臣賞」をはじめ、 数々の輝かしい受賞歴を持つ、竹職人の毛利健一さん。「父は竹細工師だったので、幼少から竹は身近な存在でした。高校卒業後は東京の印刷会社に就職したのですが肌に合わず、24歳で地元の大分に戻り、竹細工の道へ。訓練校で技術を習得後、父のお弟子さんのもとへ修業に入り、独立して《竹巧彩》を立ち上げました」。大分県は全国有数の竹(真竹)の産地。昔から竹細工の街としても名高く、学んだ大分県立竹工芸訓練センターは、日本で唯一の竹工芸の職業能力開発校。この道を究めることは自然であり、必然だったのだろう。

 1997年には、前述の公募展で審査員長を務めたファッションデザイナーのコシノジュンコさんから、思いがけないオファーが舞い込んだ。「コシノさんが参加するパリ・コレクションで使うバッグやブレスレットなどを、竹でつくることになったんです。それまでは茶かごや花入れといった伝統的な竹細工を製作していましたが、現代の暮らしには取り入れにくく、お客さんに使ってもらえるものをつくらなければと考えていたので、  これから目指す道が見えた気がしました」。この邂逅をきっかけに、かごバッグが製作の中心となる。  

 早速、実物を見せてもらうと、 精緻 な編み目がじつに美しい。「当時といまでは、仕様がまったく異なります。より使いやすくするために試行錯誤を重ね、籐(ラタン)や山ぶどうのツル、動物の革をはじめとした、 さまざまな自然素材の採用にたどり着きました。籐は柔軟性に富んでいて、ボディに使うと開口部が動く(広がる)ので荷物の出し入れがしやすく、また、 丈夫で折れにくく曲線の加工もしやすいので、多彩に編めるんです」。

 工芸品としての美しさとファッションアイテムとしての機能性・ デザイン性を備えたかごバッグは、いまや《竹巧彩》を代表するアイテム。「お客さんの“声”を大事にしたいので、商品は直営ショップ(大分県、東京・谷中)と公式オンラインショップ、百貨店の催事などで直売しています。お客さんとの距離が近いと、いろんな話を聞けますから。 籐に気づけたのも“出し入れしにくい”という指摘のおかげ。なかには無茶な意見もあるけど(笑)、お客さんからの情報はいったんすべて受け止め、自分なりに咀嚼してものづくりの心とし、イメージ通りの商品へと昇華するのが、職人の本分だと思っています」。

 使い手の声を追いかけ、アップデートを重ねる《竹巧彩》のアイテムたち。5年後、10年後は、どのように進化しているのだろう。これからが楽しみだ。

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竹細工の編組技法のひとつ「網代編み」。繊細な編み目は手工芸品ならでは。

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ハンドバッグやショルダーバッグなど、タイプはさまざま。モダンなデザインなので、和装はもちろん洋装に合わせても素敵。


《買えるのは、ここのお店》

千駄木駅(東京メトロ千代田線)
谷中 竹巧彩

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毛利さんの《竹巧彩》をはじめ、かごバッグと相性のよい洋服を展開する《イストワール》、長男で三代目の雄造さんが立ち上げた《ブーリ》がそろう、竹巧彩ブランドの直営ショップ。生活雑貨やアクセサリーなどもあり、修理・メンテナンスの相談もできる。

台東区谷中3-2-25
Tel. 03-5832-9061
[営]11:00~17:00
[休]月 
※臨時休業の場合あり

https://chikukousai.com


情緒豊かな東京・谷中で、毛利さんの感性あふれるしなやかな竹細工に、ぜひ触れてください。

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案内人
黒須悟士さん

一般社団法人 TAKUMI-Art du Japon 事務局長。日本の伝統工芸の保存と継承、未来に向けた発展のため、精力的に活動している。


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