photo: Naoki Muramatsu edit: Hideki Taira(EATer)

塚田工房の江戸木目込人形[東京きらり人]

コラム, おでかけ

この街の、ちょっといいものつくる人


【塚田工房の江戸木目込人形】

《人形師》 塚田真弘さん

古きに学び未来を拓き、
生なきものに命を宿す。

 すみだマイスター(墨田区を代表する、付加価値の高い製品づくりを体得した技術者)の称号をもつ、人形師の塚田真弘さん。塚田さんがつくる「江戸木目込人形」は、桐の木のおがくずに、生麩糊(小麦粉から抽出したデンプン)を混ぜて粘土状にした “桐塑”でつくった胴体に溝を彫り、その溝に衣裳となる布地を木目込む(埋め込む)技法からなる。東京都が指定する「伝統工芸品」のひとつで、経済産業大臣の指定を受けた「伝統的工芸品」のひとつでもある。

 大まかな工程はこうだ。「まず粘土で人形の原型をつくり、この原型から型をおこします。型に桐塑を詰めて胴体をつくり、固まったら型から抜いてよく乾燥させ、やすりなどで整形。桐塑は乾くと縮むので、凹凸やひび割れは桐塑を塗って補整します。胴体が仕上がったら、小刀で筋彫り。溝を入れる角度が重要で、たとえば人の姿をした人形だとポーズによって衣類にシワが入り、布も重なりますから、そういったことを意識して彫ると、完成したときの立体感がまるで違います。そして木目込み。溝に糊を入れて正絹や古代裂などの布をあてがい、へらでしっかり木目込んでいくのですが、うちでは “二重木目込み”といって、その下に一枚、布を張るんです。こうすることでふっくらとして、本当に着せているように見せられます」。

 工房では雛人形を中心に、招き猫や犬張子、干支人形のほか、ペーパーウエイトやマグネットなど、木目込みの技法を駆使した日用品も手がけている。「木目込みの工程は少しずつ進化していて、デザインの自由度も高く、時代とともに歩めるのが強みだと思うんです。節句業界では現代の住宅事情による売り上げの落ち込みや、つくり手の後継者不足など苦しいですが、うちでは伝統工芸の裾野を少しでも広げられればと、人形教室の開催や制作体験を実施しています。いま、できることをしっかり行いながら、新しいことにも積極的に取り組んでいきたいです」。

 伝統とは、革新の連続のうえに続くもの。塚田さんならではの感性を重ね、自身の “木目込み”を構築していくに違いない。

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へらを使い、溝に布を木目込んでいく。

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赤と青の廻しの力士はペーパーウエイト 各6050円。四股を踏む横綱 9350円。右は力士と鈴を組みわせた人形。揺らすと音が鳴る。5940円


《買えるのは、ここのお店》

押上駅(東京メトロ半蔵門線)
塚田工房

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工房内には墨田区が認定する、江戸木目込人形に関する小さな博物館がある。明治から昭和にかけて活躍した四代目 名川春山の作品をはじめ、明治時代から現在に至るまでの雛人形の原型、制作道具や材料、制作工程の解説パネル(英訳付)などを展示。

墨田区向島2-11-7
Tel. 03-3622-4579
[営]10:00~17:00
[休]日・祝

http://www.edokimekomi.com/index.html


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「大江戸すみだ職人展」

墨田区は伝統工芸の宝庫であり、さまざまな職人が活躍中。本展では職人の技を披露する制作実演や、職人から指導を受けて制作する工芸体験も実施する。いまもまちに息づく「職人文化」をぜひ、間近で体感してみて。

日時:9月20日(金)~23日(月・振休) 10:00~16:30
場所:すみだ北斎美術館 MARUGEN100(講座室)
(墨田区亀沢2-7-2)
アクセス:東京メトロ半蔵門線「錦糸町駅」3番出口、JR総武線「錦糸町駅」北口より墨田区内循環バスで約5分
都営地下鉄大江戸線「両国駅」A3出口より徒歩5分
JR総武線「両国駅」東口より徒歩9分
入場料:無料

《お問い合わせ》
大江戸すみだ職人展実行委員会(墨田区役所内)
Tel. 03-5608-6180


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