【トラハブリポート】リッジラインズと産経新聞社 DEI実践の現在地

Fem Care Project

対話を通じてDEIを体感する業界横断型コミュニティ「DEI Transformation HUB=トラハブ」を立ち上げたRidgelinez(以下リッジラインズ)と産経新聞社。両社はトラハブを軸に企業の枠組みを超えたDEI推進者の仲間づくりに取り組むと同時に、自社においてもDEIの浸透に力を入れている。今回はリッジラインズと産経新聞社のDEI実践の目的や活動の現在地を紹介する。

<リッジラインズ>
企業文化の変革に取り組むワーキンググループの活動

コンサルタント企業として、顧客が抱える経営課題の解決に取り組むリッジラインズ。社内でDEIを推進する目的の一つが人材の力を引き出すことにある。社会の進展に伴い、対処しなければならない課題が多岐にわたる中、最適な助言や提案をし続けることが同社には求められている。その実現には、多彩な人材の活躍が欠かせない。

「転職を経て仲間になる人も多く、一人一人がさまざまなバックグラウンドを持っています。チーム内での議論は活発ですが、ときには建設的な意見対立も起きることがある。その際、自分が少数派だと感じると、萎縮してしまい、力を発揮できなくなってしまいますよね。出る杭をたたくのではなく、伸ばすような環境でなければ、社内の多様性が失われることになりかねない。だからこそ、リッジラインズでは、社内におけるDEI推進を大切にし、誰もが力を発揮できる風土づくりを目指しているのです」。そう説明するのは、リッジラインズ創業期からDEI活動を牽引している今井智香さんだ。

風通しのいい企業風土は、どんな工夫で醸成されるのか。具体的な施策の一つが、就業時間の10%(月16時間)をDEI推進活動に割くことができる制度だ。

現在、約25人の有志社員がこの制度を活用して8つのワーキンググループ(WG)を結成し、コミュニティ活動に取り組んでいる。昼休憩や終業後の時間を使って、DEIや健康経営に関する勉強会や交流会を実施している。

WGのメンバーに、若手社員が多いのも特徴だ。会社の風土改革のために自発的に活動することは、若手社員のエンゲージメントや帰属意識の向上につながる面もあるという。

【みんなのDEI】リッジラインズ・今井智香さん(提供写真) (1).jpg
今井智香さん

一方で、DEI推進の難しさに直面したことはなかったのか。今井さんは次のように話す。

「もちろん、リッジラインズも多くの壁にぶつかってきました。現在活動するWGのメンバーの中にも、例えばイベントを企画してもいつも同じ人しか参加してくれないといった課題に悩んでいる人もいるようです。こうしたDEI推進に関係する悩みは他の企業内にもあるのではないでしょうか。だからこそ、企業の枠を越えてDEI推進者が集まるトラハブの今後の活動が楽しみです。互いのDEI実践知を持ち寄って解決策を探り、あきらめずに活動し続ける力を互いにチャージし合える場所になってほしい。トラハブにはそんな期待をしています」


<産経新聞社>
女性の健康課題に理解を 「生理と仕事の両立」テーマに動画も制作

産経新聞社では2021年秋から女性のココロとカラダのケアを起点に誰もが生きやすい社会の実現を目指す「フェムケアプロジェクト」に取り組んでいる。男女双方にある特有の健康課題を個人の問題ではなく、社会全体で取り組むべき問題ととらえ、解決策につながる取り組みを産経新聞本紙やフリーマガジン「メトロポリターナ」で精力的に取材。紙面だけでなくイベントを企画するなど多角的な情報発信を続けている。対外発信にとどまらず、社員に向けたヘルスリテラシーの向上や、働きやすさの改善につながる活動も少しずつ広がっている。

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産経新聞社が2025年3月8日の「国際女性デー」にあわせて掲載した特別ラッピング紙面

「生理や更年期など男女それぞれにある特有の健康に関する悩みや困りごとを、社会課題と位置づけ『みんなで解決していこう』と情報発信してきましたが、そう掛け声をあげている産経新聞社自体はどうなのかと自問したとき、フェムケアプロジェクトが発足した当初の社内の取り組みは十分ではありませんでした。社内でアンケートをしてみると、多くの女性社員が生理や更年期に関する悩みを打ち明けられず、仕事との両立で困っている実態が明らかになりました。社会とともに、私たち産経新聞社自体も変わっていこうと、少しずつ取り組みを増やしているところです」と話すのは、フェムケアプロジェクトに携わるメトロポリターナの日下紗代子編集長だ。

2022年秋にはユニ・チャームが提供する「みんなの生理研修」を産経社内の管理職研修に取り入れた。2024年には全社員を対象に「日本フェムテック協会認定資格3級」を社内で実施。任意参加した900人が受験し、このうち779人が3級に合格した。2025年も、未受験者を中心に再受験した結果、働く人に占める認定資格3級保有者率が上昇し、同協会から「フェムテックアンバサダー・カンパニー」シルバーの認定を受けた。

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産経新聞社の管理職向け研修内で「みんなので生理研修」を実施した様子。

編集局の中堅記者の発案で、社内外に向けて女性の生理と仕事の両立をテーマにした動画コンテンツを制作。産経新聞社の女性リーダーを代表して、人事部長、組合執行委員長が出演に協力した。

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左から、木村久美子労働組合委員長、上塚真由人事部長、篠原那美記者

https://www.sankei.com/article/20250824-5QCNAQVF2BGHTHWOCCPCCZHZMY/?392969

日下編集長は「社内の取り組みも少しずつ進んでいますが、いかに継続させていくかが課題です。こうした取り組みを単発で終わらせないようにするにはどうすればいいか。トラハブでは、他企業の取り組みから学びたいと思っています」と話している。


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