上野の森美術館で開催している日本美術史上最大のフェルメール展。東京展の会期も残り1カ月になりました。メトロポリターナが臨時増刊号でお届けした、展覧会ナビゲーターの女優・石原さとみさんのインタビューをWEBで公開。きょうは後編です。
音声ガイドの魅力
――知識がなくても楽しめる、ということですが、音声ガイドがあればもっと楽しめそうですね。
石原 たとえば、先ほどお話ししたように、オランダの気候ひとつとっても、その情報があることで作品の見方は変わると思うんです。ガイドが無くても十分楽しめるけど、ちょっとした情報ひとつで、想像力が喚起されていろんなことを考えられる。作品の背景を知ることで、この作品を描いた人の気持ちや状況みたいなものをより想像できるので、それがきっと、音声ガイドの大切な役割なんだと思います。
――音声ガイドの情報が、作品のことを深く考えるきっかけにもなるんですね。
石原 そうですね。でも、最初は本当にシンプルに、好きか嫌いかで見るだけでいいと思います。どんな芸術でもそうだと思うのですが、最初から難しく考えるのではなくて、自分の直感的な好みで見るのがいいのかなと。その上で、少し掘ってみることでもっと好きになるし、たとえそれほど好きではない作品でも、見方を変えることで面白くなることもある。私自身、今回この音声ガイドを務めるにあたって勉強させてもらい、その背景を知ることで、フェルメールの作品がもっと好きになりました。
――ナビゲーターを務められたことによって、何か新たな発見はありましたか?
石原 あらためて、絵画って心底面白いなと思いました。当時描かれていた国の状況や、描いている人物のこと、客観的な事実を深く掘り下げて知っていくことで、絵の中に描かれていないものも見えてくる。それらの情報を知った後に絵を見ると、いろんな角度から作品について考えることができて、まったく違う見方になるんですよね。作品の裏側にある画家の想いが感じられ、そのうえで自分の意見や感想が引き出されていく。描いている人を想像しながら絵を見ることの面白さを感じました。絵画って知識がないと見られないと思っている方も、もしかするといるかもしれませんが、見方に正解なんてないはず。どの絵の、どこに着目しても正しいんです。正解が無いからこそ、自分なりの鑑賞方法で楽しんでもらえたらうれしいですね。
石原さとみ
1986年12月24日 、東京都生まれ。2003年、映画『わたしのグランパ』にて女優デビュー。数々の作品で主演を務めながら、映画やドラマ、舞台など多様なジャンルで幅広く活躍中。
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