【Fem Care Project 推進パートナー】
TRULY CEO 二宮 未摩子
「更年期」という言葉を聞くと50代前後の女性に訪れるもの、というイメージが世間一般的には高いかもしれません。でも実は、更年期は女性だけのものではないことを知っていますか?
近年男性にも更年期障害に悩む人がいて、様々な症状が現れることが注目され始めています。女性だけに訪れる、女性だけが辛い……と思われていた更年期。もしかするとあなたのパートナーや家族、同僚である男性にも訪れるかもしれないのです。
今回はそんな男性更年期障害についてや、男性更年期障害に対する意識などについて掘り下げていきましょう。
男性の更年期障害はどのようなもの? 女性の更年期とどう違う?
女性の更年期障害は女性ホルモン「エストロゲン」の分泌量が急激に減ることによって起こります。一方男性の場合は、男性ホルモンである「テストステロン」の分泌量が減ることによって引き起こされます。男性更年期障害には多岐にわたる症状がありますが、主に下記のような症状が現れることで自覚される方が多いようです。
「男性更年期障害における主な症状」
● 性欲の低下、朝の勃起が見られない
● 興味・意欲の減退、パフォーマンスの低下、疲れやすい
● 集中力・判断力・記憶力の低下
● 短気で怒りっぽくなる、自己中心的、神経質、不安、気分が落ち込む
● 睡眠のリズムが乱れやすく、夜間に目が覚めて眠れない
● 筋肉量の減少、内臓脂肪の増加、皮膚のたるみ、シワ、骨が脆くなる
● 関節痛、筋肉痛、頭痛、発汗、ほてり、手足の冷え
男性特有の症状もありますが、発汗、ほてり、睡眠障害など女性の更年期と同じような症状も見られます。
また男性の更年期症状は40〜60代という、女性の更年期よりも幅広い年代層に起こることも特徴的です。
男性更年期の実態と意識のデータ
ここからは男性の男性更年期障害に対するリアルな実態と意識を知るために、TRULYが渋谷区と神戸市と行った実証実験での30〜50代の男性へのアンケート結果をご紹介していきましょう。
■男性ホルモンによる不調や男性更年期障害認知は半数以上

(調査人数/男性):39人
ここ最近トレンドとなっているフェムテックなど女性ホルモンによる不調へのケアと連動し、男性更年期障害がメディアによって取り上げられることも多くなってきた影響か、認知率は高まってきているようです。
■約90%の方が、男性更年期障害の症状について実感している
先程ご紹介した「男性更年期障害における主な症状」に対して、実感したことがあるかと質問したところ、約90%の方が「ある」と回答しました。
もちろんすべてが更年期症状が原因とは言えませんが、男性も女性同様に男性ホルモンによる体調やカラダの変化を敏感に感じているということが分かります。
なお実感している症状の1位は筋肉量の減少、内臓脂肪の増加(42%)、2位は性欲の減退/集中力の低下(36%)でした。

(調査人数/男性):39人
■7割の男性が不調や悩みを妻やパートナーに聞いてもらいたい
「男性のホルモン低下による不調や悩みを、妻やパートナーに聞いてもらい理解してもらいたいと思いますか?(今悩みが無い方は、悩みが発生した時の事を想定してお答えください)」という質問に対しては、7割の男性が聞いてもらいたいと回答しています。

(調査人数/男性):39人
逆に、同じ対象の男性に、「パートナーの女性から女性ホルモンのバランスの崩れによる不調があった場合、仕事や生活への影響をご自身に共有してもらいたいか」という質問をしたところ、同様に7割ほどの男性が「共有してもらいたい」と答えています。
男性更年期障害を認知、症状を実感している人は多く、また、男性側はお互いに悩みや不調を共有したいと考えているということがアンケート結果では分かりました。
男性の女性更年期に対する理解度はどのくらい?
ここからは少し視点を変えて、男性が女性の更年期に対してどのくらい理解しているのかを、同じアンケートのデータから見ていきます。
更年期とは限りませんが、約90%の男性が職場の女性やパートナーから、生理や更年期など、ホルモンバランスの乱れによる、「不調」を感じたり伝えられたりした経験があるそうです。
「生理や更年期など、ホルモンバランスが崩れやすい時期にいる女性と接する際に、気を付けていることや意識していること」は、「声をかけて気に掛ける」が41%一方 「なるべく関わらない」も28%でした。
しかし、女性ホルモンの崩れによる体調不良が「日々の仕事に影響する」は82%に対し、「キャリアや昇進に影響する」は39%どまり。女性ホルモンによる体調不良が女性のキャリアや昇進に大きく影響を及ぼすとはまだ認識されていないようです。
ここには女性側の「更年期の症状によって仕事に差し支えた経験がある人」が5割を超えていたり、更年期の不調により、33%が仕事を辞めようと悩んだり、昇進の機会があった人は、38%が昇進辞退を考えたことがある、というデータからはギャップがあるように見られます。
また、男性も75%の人が「職場や自治体の更年期への理解サポートが足りていない」と感じており女性と同じくらいのボリュームなのですが、比べると、女性のほうが「“強く”足りていない」と感じているというデータが出ています。ここからも男性と女性の意識のズレが垣間見えます。
男性も女性から更年期の不調を共有してもらいたい、気を使いたいという気持ちはあるものの、まだ完全な理解には至っていない部分や、意識のギャップが見え隠れしています。このあたりの認識の差が、まだまだ男性社会である職場や、国の制度としての更年期へのサポートが足りない現状につながっているのかもしれませんね。
あなたのパートナーにも訪れるかもしれない更年期。違いを知ることが大切
ここ数年でやっと光が当たり、少しずつオープンに話題にできるようになってきたのが「女性」の更年期。「男性」の更年期障害が同じような状態になるのには、もう少し時間がかかるかもしれません。
でも女性にも男性にも、性ホルモンの低下による不調や悩みがあることを知ることは、男女の相互理解を推し進めるために、とても重要なことなのではないかと思います。
今回ご紹介したデータから、男性側の女性更年期に対するリテラシーはまだまだ高いとはいえません。でも男性側の「共有してほしい、ケアしたい」という気持ちは嬉しく感じますよね。
そしてこれは、女性側にも言えることです。男性特有の不調や悩みに気づいたり話を聞いてあげたりすることで、お互いがお互いを思いやり、パートナーとより絆を深めていくことのきっかけになるかもしれません。
同じ更年期でも原因や症状の現れ方が異なる男女の更年期の症状を、お互いに理解することから始めてみませんか?
※すべてのデータはTRULYが行った令和3年度「フェムテック等サポートサービス実証事業」による渋谷区、神戸市のモニターへのアンケート結果を参照しています。
【Fem Care Project 推進パートナー】
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