Text: Sayoko Kusaka Photo: Shigeo Kosaka Edit: Kohei Nishihara(EATer)

非日常を、日常に。[フェムトーク]


女性のココロとカラダのケアを考え、よりよい未来につなげる「Fem Care Project」。本誌編集長・日下紗代子が、さまざまな人にお話を聞きながら、女性の健康課題や働き方について考えていきます。


 2020年に、本社機能の一部を兵庫県・淡路島に移転すると発表したパソナが、産婦人科医の高尾美穂先生とタッグを組み、淡路島で初の「女性の健康サミット」を開催した。青い空、美しい緑、さえずる小鳥の鳴き声。「リトリート」という日常から離れた時間のなかで、働く女性のよりよい環境づくりについて徹底討論するプログラムに、全国から、企業に勤める保健師や人事総務担当者など、さまざまなバックグラウンドをもつ女性9名が集まり、フェムケアプロジェクトとして私も参加した。

 なぜいま、女性の健康支援が必要なのか。明日からできるアクションとは。東京の会議室ではない非日常空間で、自分と、自分が所属する組織と向き合うことで見えてきたことや、一人の働く女性として感じたこと、企画者、参加者同士が交錯した熱い“想い”をレポートする。

なぜいま「女性の健康支援」なのか

 リトリートとは、数日間、日常から離れた環境に身を置き、いつもと違った体験を楽しむことをいう。淡路島は古事記で日本発祥とされる島で、今回のサミットの舞台となった禅リトリート施設「禅坊 靖寧」は、東経135度の子午線上にピッタリ位置する“パワースポット”としても有名だ。空中に浮かぶように設計され、360度大自然に囲まれた道場では、禅とヨガを体験でき、食事は、添加物や砂糖などを一切使用しない「禅坊料理」など、心身ともに体の内側からも浄化されていくのを感じることができた。

 企画に携わったパソナ・メディカルDotank事業部の石田幸子さんは、本サミットを淡路島で開催した意義についてこう話す。「参加者の皆様自身がリフレッシュしながら、自分を大切にすることの大事さに気づいていただき、小さなアクションやさらなる一歩を共有する場をつくりたかった。女性の健康支援はいま、進んでいる会社と、まだまだ道半ばの会社と二極化してきています。だからこそさまざまなフェーズにある企業同士をつなぐ場があることで、みんなで底上げしていく第一歩を目指し企画しました」

 高尾先生は講演のなかで「いま、労働人口が減少していく日本社会の需要として、働く女性は求められている。女性の参画が想定されていなかった時代の、男性メインの職場の制度や働き方を、少しずつハード面でもソフト面でも見直すとき」とし、とくに、健康面においては、性差の違いをお互いが知り、不調を抱えた人の困りごとを想像し支えあうことの大切さを語った。今回のサミットでは、パソナから2名の男性社員も参加し「管理職世代の男性を巻き込むこと」の重要性についても話題になった。

凹凸を埋めていく。
それは一枚ずつ紙を重ねるように、少しずつ

 メインプログラムでは、女性の健康課題への対策方法や、参加者が所属する企業内の健康課題やその解決策を共有するワークショップを実施した。「やめたいこと」「課題」「個人として、日本全体としてありたい姿」を付箋に書き連ね、みんなで読み上げていく時間では、深いうなずきとともに共通の気持ちを持つ感覚があった。

 高尾先生は、「日本のありたい姿にこれだけイメージが集まったことはとてもうれしいこと。性差による違い、得意、不得意、みんなそれぞれ凹凸をもっています。この凹凸を埋めていく。それは一枚ずつ紙を重ねるように時間はかかるけれど、確実に前進していくことです」と参加者のアクションを後押しした。

 参加したバリューHR・川崎亜希子さんは「できる方法を考えることや、諦めないという気持ちをそろえられた気がする」と参加者同士のつながりの今後の継続にも期待を寄せていた。

 今回集った参加者は、それぞれの組織で、女性の健康支援を育てようと、種をまき続けるリーダーたちだ。自身の経験や思いに裏打ちされた、強くしなやかな志をもつ仲間がいる。そう感じられたことに、明るい未来を感じた。この活動は継続していくという。

 「一歩一歩、あぜ道を作るように」と高尾先生が言っていた。私も、今回の非日常のなかで体感したことを日常のなかにいかしていきたい。過渡期だからこそ、ありたい姿を想像し、望み、それを誰かに話し、実行する。そのワンアクションを重ね続けようと思う。

今回の詳細レポートは下記のURLからチェック!
https://metropolitana.tokyo/ja/archive/women_health_summit_202305

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メトロポリターナ編集長
日下紗代子

ときには“リトリート”も大事かも!

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Fem Care Project

「フェムケアプロジェクト」は、産経新聞社が主催する、女性の心と身体の「ケア」を考え、よりよい未来につなげるプロジェクト。女性特有の健康課題や働き方について情報発信をしながら考えていく。


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