東京メトロ沿線で見つけたことを、編集部が気ままにご紹介する「気ままにメトロポリターナ」。編集部員・渡邉が気になっていた、金平糖(こんぺいとう)専門店で、ポルトガルに起源があるその歴史と、伝統ある製法について聞いてきました。
銀座/銀座 緑寿庵清水(りょくじゅあんしみず)
お抹茶が大好物の、編集部員・渡邉です! 私には、お茶席でいただいて以来、忘れられないお菓子がありました。それは、金平糖です。目にしたことはあるけれど、なかなか食べる機会がない…。私にとっては、そんな存在のお菓子でしたが、「緑寿庵清水」の金平糖を食べてから、“じつはすごいお菓子なのかも…!”という思いに至りました。そこで今回は、その謎に包まれたお菓子・金平糖の魅力に迫るべく、「銀座 緑寿庵清水」に行ってきました。

「緑寿庵清水」は、京都・百万遍と祇園、そして東京・銀座にある金平糖専門店です。その創業は、なんと1847年! 「銀座 緑寿庵清水」の猪飼晨(いかい しん)さんに、まずは金平糖の歴史についてお聞きしました。「金平糖が日本にはじめて来たのは、1546年の戦国時代。カステラなどとともに南蛮菓子のひとつとして、ポルトガルから日本に持ち込まれたのがはじまりです。当初は長崎だけでつくられていましたが、時代が経ち江戸に知られ、それから京都に広まったとされています」。

かつては、かの千利休も、野点のおひがしとして好んだとも言われる金平糖。それを長きに渡ってつくり続ける「緑寿庵清水」には、ほかでは味わえない、唯一無二の金平糖がありました。たとえば、「あまおう苺」や「柚子」、「辛味ジンジャー」など、素材そのものを使った、「にじの星」シリーズ。その金額は、1種類1000円以上する高級品! 一体なぜ、このようなオリジナリティーあふれる金平糖が生まれたのでしょうか。

「初代・清水仙吉によって門外不出の金平糖づくりがはじまり、現在とほぼ変わらない大きな釜での製造に成功した2代目以降、一代一代積み上げてきた技術が、現在の金平糖づくりにもいかされています」と猪飼さん。さらに、小豆や肉桂(ニッキ)といった素材を核にした金平糖を生み出したのが、3代目。そこから、素材を金平糖に取り入れることに挑戦し続けた、4代目。そして現在の5代目である清水泰博さんが、チョコレートやワインをはじめとした、さまざまな味わいの金平糖を生み続けているといいます。

姫あられやイラ粉(砕いたもち米)に、糖蜜をかけては火にかけてかき混ぜ、乾燥させる工程を繰り返してつくられる金平糖。1種類つくるために、2週間以上かかるそう。しかも、釜のなかで金平糖が流れ落ちる音や、混ぜるコテから手に伝わる感触などで、金平糖の状態を見極める手仕事なので、レシピはないに等しいといいます。「湿度や温度といった天候にも左右されるので、まったく同じ金平糖ができることはないんです」と、猪飼さん。渡邉おすすめの金平糖は、後編でご紹介します!
GINZA RYOKUJUAN SHIMIZU
中央区銀座6-2-1
[TEL]03-5537-9111
[営]月〜金 11:00〜19:30、土・日・祝 11:00〜18:30
[休]水 ※祝日の場合は木曜
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