東京メトロ沿線をはじめとして、編集部が“いま気になること”を紹介している「気ままにメトロポリターナ」。映画好きの編集部員・関根がミニシアターの魅力をお届けする「東京ミニシアターダイアリー」第8回は、昭和の名画が大スクリーンで楽しめる、神保町にあるミニシアターを紹介します。
神保町/神保町シアター
2007年に開館した「神保町シアター」は、友人からの誘いで訪ねて以来、私がたびたび足を運んでいるミニシアターです。昭和時代に公開された映画を中心に上映しているこの映画館で、『私をスキーに連れてって』の原田知世さんにキュンとしたり、『愛と平成の色男』の石田純一さんの若かりし姿に驚いたりと、行くたびに新作映画では感じることのないドキドキ感を味わっています(笑)。長く愛され続ける邦画を現代に届ける、こちらの映画館の支配人・佐藤奈穂子さんにお話を伺いました。

神保町シアターでは、三島由紀夫や谷崎潤一郎の小説など、文芸作品を原作にした映画を多く上映しています。その理由について、佐藤さんは次のように話してくれました。「“本の街・神保町”ということもあり、文芸作品を中心に選んでいます。古い映画を見たあとは、原作を探しに古本屋さんを巡ったりと、街の散策もあわせて楽しんでもらいたいですね」。映画を見たあとに本屋さんで原作や気になる一冊に出合ったら、そのまま喫茶店で読書、なんて休日も素敵ですよね。神保町シアターで映画を見ると、この街ならではの豊かな時間を過ごせます。

写真提供/神保町シアター
さまざまな旧作が手軽に見られる時代ですが、DVDや配信サービスで見ることができる昭和の邦画は、ほんのひと握りだそう。「デジタル化されていないフィルム映画が、じつはたくさんあるんです。そういった作品を積極的に上映して、作品としての価値を次の時代に残していきたいです」。現代の映画はほとんどがデジタル仕様であり、フィルム作品を上映できる映画館は少なくなってしまっているそうです。このままでは、古い映画を見る機会も減っていく一方。佐藤さんのお話を聞いて、もっと映画館でフィルム作品を見ようと心のなかで誓ったのでした…!

神保町シアターでは、「学校の怪談」特集や、昭和から平成初期に上映された恋愛映画を集めた特集、ドラえもん全作品を上映する「ドラえもん映画祭」など、若い世代に刺さる特集も企画しています。私が初めて見た特集は「私をバブルに連れてって《バブリー映画特集》」。見たことのない作品ばかりだったものの、特集名に惹かれて友人と見に行ったところ、現代の映画にはない華やかなシーンや妖艶な女優さんの演技に、すっかり虜になりました。気になる作品や特集を見つけたら、まずは1回見てみる。そうすることで、フィルム映画ならではの映像の美しさを知れたり、昭和の俳優陣を知ってさらに好みの作品を見つけられたり、映画の楽しみ方が広がるはずです。

私がいま楽しみにしているのが、2月12日(土)から3月4日(金)まで上映予定の特集「小悪魔的女優論─可愛いだけじゃダメかしら」。「この当時の女優さんはとくに、肌を見せるシーンでなくとも色気を感じさせる、独特の演技力と存在感があります。清純派の女優さんとはまた異なる、女性の小悪魔的な要素が輝く作品を集めました」と佐藤さん。そんな視点で、昔の女優の魅力あふれる演技を大スクリーンで見られるなんて、期待が高まります。ほかにもさまざまな特集上映を行っていますので、神保町を訪れた際は、ぜひ足を運んでみてくださいね。
JINBOCHO THEATER
千代田区神田神保町1-23
[TEL]03-5281-5132
[休]無休(年末年始は除く)
※営業時間や上映作品などは、公式サイトでご確認ください