illustration:Haruka Toshimitsu

慢性的な不調は、グルテンの影響かも?《働くオンナの救Q箱》


 倦怠感や肩こり、頭痛などの不定愁訴(ふていしゅうそ)が続いているなら、「グルテン不耐症」を疑ってみて。食事を見直して、パフォーマンスアップしよう!

Q1.グルテン不耐症ってなに?

 グルテン不耐症とは、小麦やライ麦、大麦などに含まれるタンパク質の一種「グルテン」によるアレルギー疾患です。グルテンを含む麦類を使ったパンや麺類などを食べることで腸が炎症を起こし、体中にあらゆる症状が表れます。たとえば下痢や便秘などの胃腸のトラブルや皮膚のトラブル、頭痛やだるさ、慢性疲労、肩こり、足のむくみなどを引き起こします。脳にも影響を及ぼし、発達障害や抑うつとの関連性も指摘されています。

Q2.何科を受診すればいいの?

 アメリカではグルテン不耐症の研究が進んでおり、人口のおよそ1パーセントの人が、グルテン不耐症の中でも特定の抗体に強く反応するセリアック病であることがわかっています。一方で、日本におけるグルテン不耐症の認知度は低く、大きな病院でも診断できない場合があります。グルテン不耐症の改善に積極的に取り組んでいて、アレルギー検査や栄養療法などを行っている病院の消化器内科やクリニックを受診するといいでしょう。

Q3.どうやって診断するの?

 乳製品に含まれる物質「カゼイン」も、グルテンと同じようにアレルギー症状を引き起こします。そのため、診断の際はグルテンを含む麦類を使ったパンや麵類、カゼインを含む乳製品を、2週間ほど食事から抜きます。小麦は調味料やお菓子、加工食品に使われることも多いので、そうしたものも厳密に避けます。それによって症状が軽くなればグルテン不耐症と診断されます。アレルギー検査によって、より詳細にアレルゲンを調べることもあります。

Q4.治療方法はどんなもの?

 グルテン不耐症である場合は、グルテンやカゼインの含まれた食品を一定期間、食べないようにします。オートミール(オーツ麦)やもち麦にはグルテンは含まれていませんが、グルテンと非常に似た性質のタンパク質が含まれているため、食べて不調を感じる場合は食べないようにするといいでしょう。グルテン不耐症の人は腸から栄養吸収ができず、栄養状態が悪くなっているため、サプリメントで足りない栄養を補い、食事指導も行います。

Q5.どうしてグルテン不耐症が起きるようになったの?

 グルテン不耐症が起きるようになった原因のひとつに、小麦の原種に品種改良を重ね、グルテンの含有量を多くしたことが挙げられます。グルテン不耐症は、花粉症のようにすぐに症状が出ず、長期間にわたってじわじわと腸に炎症を起こすために、気づきにくいものです。なかなか改善しない不調を抱えているなら、グルテン不耐症を疑ってみてもいいかもしれません。

 

監修:高瀬 友理亜先生

医療法人回生會
みぞぐちクリニック 医師
https://mizoclinic.tokyo


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