この街の、ちょっといいものつくる人
【Cohanaの裁縫道具】
《Cohana》 河口万里さん
伝統工芸が現代に甦る
長く愛でたい裁縫道具
三越前駅から5分ほど歩いて神田方面へ。老舗の日本料理店が軒を連ねる小路に《コハナ》はある。店の2階には、1953年創業の株式会社KAWAGUCHIの本社があり、その会社から生まれたオリジナル裁縫道具の店が《コハナ》だ。
「日本の職人さんの技術を残せて、手にするとワクワクするような何かをつくりたかったんです」。そう話してくれたのは、《コハナ》の河口万里さん。KAWAGUCHIでは、裁縫道具やミシン用品、布用接着剤など、家庭で使う手芸道具や用品を長く扱っているが、ファストファッションの流行に伴い、汚れたり傷んだ服を「直して使う」から「買い替える」選択をする人が増えたことで、手芸用品や道具の利用者が減少傾向に。「このまま実用的な商品のみを販売するだけではなかなか難しい。であれば、本業であるKAWAGUCHIのノウハウと、全国にいるさまざまな職人の技術をいかして、手芸をされる方にもそうでない方にも気軽にものづくりを楽しんでもらえるような、機能的でデザイン性の高いアイテムをつくってみようと、《コハナ》というブランドをはじめました」。
まるで雑貨屋さんのようなかわいらしい店内には、手芸に使う待ち針や針休めなど、すべて企画から手がけているというこだわりの道具が並んでいる。たとえば、品質の高さから海外のファンも多いという庄三郎伊賀くみひもの糸切ばさみ。その持ち手には、三重県・伊賀市に工房を構える松島組紐店の組み紐を手巻きすることで、持ちやすくデザイン性にもすぐれた製品に仕上げている。はさみのキャップは、《コハナ》のロゴマークが押された牛革製。複数の職人技によるオリジナル商品は、3世代、4世代と長く使える高品質のものばかり。細部までこだわり抜くことで、職人ひとりの技術だけでは成し得ない、伝統と伝統をかけあわせる《コハナ》ならではのものづくりを目指していきたいと河口さんは話してくれた。
「《コハナ》の商品は、日本の雑貨店や海外の店舗などでも取り扱っていただいていますが、コンセプトや世界観をご理解いただいたうえで販売していただいています。これも、全国の地域産業と、一つひとつ丹精込めてつくってくれている職人さんを守りたいと思ってのこと。《コハナ》の道具を通じて、ひとりでも多くの方に、日本のものづくりに興味を持っていただけることを願っています」。
河口さんと全国の職人の思いが詰まった道具たち。ただかわいいだけではない、長く愛でたくなる理由がそこにはあった。

約60種ある商品はすべてハンドメイド。

《コハナ》の道具を詰め合わせた裁縫セットも。「長く大事に使う約束で、中学生のお子様とお母様が購入してくださり、うれしかったです」と河口さん。
《買えるのは、ここのお店》
三越前駅(東京メトロ銀座・半蔵門線)
Cohana日本橋本店

ピンクッションや針山などの裁縫道具から、手帳やポーチなどの雑貨まで、《コハナ》の全商品を扱う直営店。基本の裁縫道具が入った「小さなお裁縫セット」や、一式の道具を揃えた「プレミアムセット」なども。実際にその美しさに触れて、お気に入りの道具を見つけて。
中央区日本橋室町4-3-7 株式会社KAWAGUCHI 1F
Tel. 03-6910-3255
[営]10:00〜17:00
[休]土・日・祝
https://cohana.style
伝統工芸と組んで裁縫道具をアップデートする。
考えもつかなかった“地場産業活性化”です!

《案内人》鈴木正晴さん
株式会社コンタン代表取締役。「ニッポンのモノヅクリにお金を廻す」を旗印に、日本全国のすぐれものを発掘、国内外へ発信している。